義務教育の中学校までとは異なり、高校には進学・卒業ができない「留年」があります。「もし留年したら・・・」と考えると、心配になるかもしれませんね。
では、どのような場合に留年になるのでしょうか。また、留年後はどのような進路があるのでしょうか。
そこで今回は、高校の留年のシステムと、留年が決まった場合に選択できる進路について詳しくみていきます。
留年するかどうかは出席日数と成績で決定
まず、高校ではどのような場合に留年するのか知っておきましょう。
目次
留年の基準は出席日数と成績
高校で単位を取得するためには、出席日数と成績の両方が必要です。逆にいえば、どちらか一方でも欠けたら留年します。
出席日数が足りないと、成績が良くても留年
出席日数の基準は学校ごとに異なりますが、多くの高校では年間の全授業日の3分の1以上(あるいは3分の1を超える日数)欠席すると、留年になります。この場合、成績の良し悪しは関係ありません。
なお、学校によっては科目ごとに出席を管理している場合があります。週に1回しか授業がない科目は、欠席が続くと出席日数がすぐに足りなくなってしまいます。また、登校していても、授業に出なければ出席あつかいになりません。
成績が基準に満たない場合も留年
定期テストや通知表の成績が基準に満たない場合(いわゆる赤点)も、留年に繋がります。通知表の成績は、提出物の状況や授業態度・生活態度などが考慮されることもあります。
成績による留年の基準も学校により異なり、“3科目の赤点で留年”“全科目の2割が赤点ならば留年”などさまざまです。赤点の点数も、“40点以下は赤点”“平均点の半分なら赤点”など、これも高校ごとに独自の基準があります。
留年しそうな人に対する救済措置
多くの高校では、いきなり留年を通知してくることはありません。まず注意をうながし、場合によっては救済措置を用意してくれます。
出席日数が足りないケースでは、長期休暇中に補習を受けることで出席日数を満たすように配慮してくれる場合があります。
赤点が多い場合は、追試や補習を受けたり追加課題を提出したりすれば、留年を免れることもあります。
新型コロナウイルス感染症の影響で留年する可能性も……
新型コロナウイルス感染症などの影響で休校が続くと、出席すべき日数が少なくなるため、欠席できる日数も少なくなります。つまり、欠席日数が前年と同じでも、留年する可能性があるのです。
また、新型コロナウイルス感染症の流行下では、補習や追試などの救済措置が行なわれない可能性があります。
留年しそうな場合は早めに学校に確認して、その後の対応を考えましょう。
留年後の進路は?
それでもやむを得ず留年してしまった場合は、どのような進路があるのでしょうか。おもに、
・ 高校に残って卒業を目指す
・ 他の高校へ転入する
・ 高卒認定試験を受ける
といった進路の選択肢があるので、それぞれみていきましょう。
高校に残って卒業を目指す
留年が決まっても、高校にもう1年とどまって単位を取得すれば卒業できます。卒業年度は1年ズレますが、その高校を卒業したという学歴も残ります。
留年をすると、取った単位もゼロになります。全教科、同じ授業をもう一度受ける必要がありますし、定期テストでも、もう一度基準点を取る必要があります。
また、同級生だった友達は1つ上の学年に進学し、下級生と一緒に授業を受けることになります。その後の進学や就職でも、同級生におくれを取ることになります。
一つ下の学年のクライメイトになかなか馴染むことができない、先輩になった同級生と顔を合わせるのが苦痛といった状況から、留年したものの途中で退学してしまうというケースもあります。
高校に残って卒業を目指すなら、「留年したけど、気持を入れ替えて進級・卒業を目指そう!」という強い気持ちが必要かもしれません。
他の高校へ転入する
留年後、他の高校に転入するのも選択肢の一つです。
ただし、全日制の高校への転入は条件が厳しく、手続きも大変なことが多いため、転入先として一番の候補になるのは通信制高校です。
通信制高校では、前の高校で取得した単位を引き継ぐことができます。留年したら最低1年、就職や進学が遅くなってしまいますが、単位を引き継いで通信制高校に入学すれば、ほかの人と同じタイミング(3年間)で高校を卒業できる可能性が高くなります。もちろん、取得していた単位数があまりに少ないとそれも難しいので、注意しましょう。
通信制高校は頻繁に校舎に通わなくても大丈夫ですし、在籍しているのも、いろいろな年代層の方々です。「留年して今の高校にいるのが苦痛」なら、転入を検討してみるのも良いと思います。
通信制高校については、こちらの記事もご確認ください。
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高卒認定試験を受ける
もう1つ、高認試験(高等学校卒業程度認定試験)を受けるという選択肢もあります。
時間をかけて高校を卒業しなくても、高認に合格すれば高卒者と同じあつかいになるため、進学や就職で不利になることはまずありません。
最短4ヵ月で取得することができるため、早く高認に合格すれば、それ以降の時間は自分の好きなことに使ったり、留学をしたりすることもできます。また、大学受験のための勉強に時間を費やせば、現役高校生より有利に受験勉強をすすめることもできます。
高認試験は高校に在学中でも取得することができるため、まずは高認試験に合格して、高卒資格を取ってから、高校を中退するのか卒業するのかを考えることもできます。
高認試験の基礎については、こちらの記事で簡単に解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
目次1 高卒認定試験とは2 中学卒業された方であれば、どなたでも受験できます3 チャンスは年2回4 受験科目は8科目~5 大学進学への道6 高卒認定試験の出願方法から心構えまで 高卒認定試験とは 正式名称は、高等学校卒業 …
まとめ:高校留年後の進路は主に3つ!自分が納得できる選択をしよう
高校を留年してしまったら、その後に考えられる進路の選択肢は3つです。
・通信制高校に転入する
・高認試験を受ける
これらのなかから、自分が納得できる道を選んでみましょう。
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