こんにちは、四谷学院高認コースの田中です。高等学校卒業程度認定試験(高認)は、毎年5万人が受験する資格試験です。合格することで、高校を卒業した人と同等以上の学力があると認定されます。

高校には全日制や定時制、単位制、通信制など様々ありますが、高校に通わずに高認試験を受験することでどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
この記事では、高認試験のメリット、デメリットと、試験の合格率や費用についても解説していきます。

高等学校卒業程度認定試験(高認)とは?

高認試験は、正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」です。とても長いですから、「高卒認定」とか単に「高認」と呼ばれることもあります。

実はこの試験は平成17年から始まった試験です。それまでは、「大学入学資格検定(大検)」という名称でした。この名前からもわかるように大学に入学することが前提の資格試験でしたが、平成17年からは高卒の人と同等以上の学力があることを認定する資格であるということが、はっきりと分かる名称になりました。

高認試験の受験料などの費用はどのくらい?

高認資格の取得にかかる費用は、試験の受験料と交通費、そして出願書類の準備などがあります。
細かく見ていきましょう。

受験料

受験料は受験する科目数によって異なります。

(※2023年4月現在)

受験科目数受験料
7科目以上8,500円
4科目~6科目6,500円
3科目以下4,500円

たとえば、4.5.6科目であれば6,500円で、8科目ならば8,500円、1科目ならば4,500円ということになります。1回の試験で何科目受験するか、受験生が自由に受験科目を決めることができます。
また、1回目の試験で全科目合格できれば8,500円だけで済みますが、もしも1科目落としてしまったら、翌年残った1科目を受験するのに4,500円が必要になってきます。

受験科目の選び方についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
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最少科目で合格を狙え!選択科目を選ぶコツは?

出願費用

高卒認定試験の出願書類(願書)は、インターネットや電話(音声ガイド)で取り寄せることができます。また、各都道府県の配布場所に行くともらえます。願書自体は無料ですが、送料(200円程度)は受験生負担となります。

願書の配布時期は毎年4月上旬からとなっています。

受験スケジュールについては、こちらの記事を参考にしてくださいね。
↓↓

高認試験対策の年間スケジュールは?四谷学院「高認コース」の学習計画を紹介します

その他の費用

出願の際、「受験案内」入っている書類に必要事項を記入するだけでなく、「写真」「住民票(戸籍抄本)」が必要です。もしも、科目免除の申請をするのであれば、科目合格の通知書や高校での単位修得証明書も必要になってきます(発行手数料がかかります)。写真はスピード写真でもOK、住民票は1通につき300円の交付手数料がかかります。
また、高認試験の会場は、各都道府県1か所なので、そこまでの交通費や食事代、場合によっては宿泊費も必要となります。

高認試験の合格率は?

よく「高認試験はとても難しいのではないか?」という質問を耳にします。高認試験は、高校の教科書の範囲内で出題されますから、決して難しい試験ではありません。それに、高校入試や大学入試とは違い、落とすための試験ではないので、合格者の定員は定められていません。つまり、合格ラインに達すれば全員合格者となります。

文部科学省の発表によると、高卒認定試験の合格率はおよそ50%程度です。1科目以上合格した人は90%以上となっています。

高認試験のメリット

メリット(1)高認試験のみで資格が得られる

高認試験であれば、全く学校に通うことなく、試験に合格しさえすれば「高認資格」を取得することができます。
通信制高校も同様に、自宅にいながら勉強することができますが、実は厳密にはそうではありません。「スクーリング」と呼ばれる、学校や会場に行って直接指導を受ける必要があるんです。大抵の場合、月に数回行われ、もしもスクーリングに参加しなければ進級・卒業ができないというカリキュラムになっています。全く通学しないとなると、「高認試験」一択となるわけです。

メリット(2)高認はスピーディーに資格が得られる

高校は、全日制であっても通信制であっても、卒業するまで最短3年はかかってしまいます。その点、高認試験であれば、試験に合格したらすぐに資格を取得することができます。

たとえば、一度社会に出て「やっぱり大学に行きたい!」となった場合、そこからまた3年間高校に通うのはハードルが高いですよね。仕事をしながらですと定時制や通信制の高校になりますし、そうすれば4年以上高校に通う必要が出てきます。その点、高認試験であれば、試験は年2回、そこで合格すればすぐに大学・短大・専門学校などを受験する資格が手に入るんです。大学受験のための準備期間もしっかり確保できます。

メリット(3)高認は1科目ずつ受験ができる

大抵の資格試験であれば、試験は一発勝負です。しかし、高認試験では「科目合格」が認められています。高認試験は8科目から10科目と受験科目が多く、すべて1回の試験で合格するのは「一発合格」といってすごいことです。でも、実際には1科目ずつ受けることができるので、自分のペースに合わせて受験スケジュールを組み立てることができます。

たとえば、1回目の試験で半分合格、2回目の試験で残りを合格、というスケジュールにすれば、1年で合格可能。一度合格した科目は、その後ずっと免除になるから、毎回1科目ずつ受けたってOKです。

メリット(4)高認は合格率が高い

先ほども確認した通り、高卒認定試験の合格率は、だいたい30%から40%程度です。この数字だけ見ると「意外と難しいのでは?」と思うかもしれませんね。しかし、1科目ごとの合格率は70%を超えるんです。計画的に学習すれば、合格できる可能性はかなり高いと言えるでしょう。

メリット(5)高認は合格ラインが低い

高認試験の合格ラインは、100点満点中40点以上と言われています。半分の50点を得点できれば合格間違いありません。「満点を取ろう!」と思うとなかなか大変かもしれませんが、50点取れれば合格ですから、合格のハードルは低めではないでしょうか。

メリット(6)高認試験の出題は中学から高1レベル

高認試験の問題は、中学校レベルから高校1年生で習う範囲からの出題がメインとなります。つまり、きちんと勉強していれば解ける!ということ。大学受験のような特殊な難問・奇問は出題されません。基本的でスタンダードな問題が出されます。

メリット(7)高認には科目免除制度がある

一度合格した科目は次の試験からは免除されるだけでなく、高校で単位を取った科目は免除になります。また、英語検定や数学検定などの検定試験に合格していると免除になる科目もあるんです。

たとえば数検2級以上取っていれば数学は免除できます。免除申請の手続きは必要ですが、受験科目数を少なくできるので、該当する科目があればぜひこの制度を活用したいところです。

メリット(8)高認合格はあなたのアピールポイントになる

高認試験に合格すると、高卒の人と同等の権利を得ることができますから、大学の推薦入試(AO入試)や国家試験、そして就職試験にもチャレンジすることができます。
大学受験や就職試験に臨むとき、面接官や周りの人に理由を聞かれることもあるかと思います。多くの人が高校を卒業する中で、なぜ「高認試験」という選択をしたのか?そこには他の人と違うあなただけのストーリーがあるはずです。
つまりあなたを強く印象付けるチャンスであり、他の人にはないアピールポイントになります。高認試験は積極的な選択肢ですから、なぜ高認を目指したのか、そしてどうやって合格を勝ち取ったか、堂々と伝えていきましょう。

高認試験のデメリット

デメリット(9)学歴は「高卒」ではなく「中卒」

高等学校卒業程度認定試験に合格しても、最終学歴は「高卒」になりません。中学を卒業して高校に進学しなかった人であれば、高認試験に合格後も最終学歴は「中卒」です。高校を中退した人であれば、最終学歴は「高校中退」となります。

ただし、履歴書に記載する場合は、「高校卒業程度認定試験 合格」と記載することができます。さらに、高認資格を取得後に大学に進学、卒業すれば、最終学歴は「中卒」から「大卒」になります。

デメリット(10)高認試験の勉強は挫折しやすい

高校に通っていれば周りに友達がいたり、直接先生が指導してくれます。通信制であっても定期的なスクーリングやサポート校での指導を受けることで、モチベーションを保つことができます。独学で、自宅で高認試験対策をするとなると、やはりハードルは高くなります。サボっても注意してくれる人もいませんし、励ましてくれる人もいませんから、自分で自分を律して、強い心で勉強に立ち向かう必要があります。

ひとりではちょっと辛いなら、1年で合格するためにもしっかりサポートを受けることができる環境を整えることが、高認取得への近道となるでしょう。

高認試験のメリット・デメリット まとめ

学校が合わなかった、いじめにあった、進路を変更した、病気など健康上の理由、経済的理由など、様々な理由で高校に進学しなかった人や高校を中退した人は毎年全国で5万人以上にのぼります。
高校を卒業しなくても、高卒者と同等の資格が国から与えられる高認は、今、自分の希望する道に進むためのもう一つの手段として大きく注目されています。

高認資格を取得することで、大学や専門学校への進学、公務員試験や国家試験の受験が可能になります。また、就職にあたって応募できる会社が増えます。つまり、選択肢が増えて、将来の可能性が大きく広がります。