高認を受験するときに忘れてはいけないのが、「単位修得証明書」の提出です。

単位修得証明書とは、その名のとおり高校で修得した単位を証明するもの。高校に半年以上通っていた場合は、高認試験の科目免除が受けられるかもしれないので、必ず請求するようにしてください。

ただし、高校に証明書の発行をお願いするときは、依頼方法に注意しなければなりません。というのは、証明書の書式が文部科学省指定のものでないと、受理してもらえないことがあるからです。

「単位数がわかれば書式なんでどうでもいいんじゃないの?」って思いますよね。でも、そういうわけにはいかない理由がちゃんとあるんです。

そこで今回は、文部科学省指定の様式でないと受理してもらえない理由と、高校に証明書の発行を依頼するときのポイントを解説します。高校に証明書の発行を依頼する前に、きちんと読んでおいてくださいね。

文部科学省指定の様式でないと受理してもらえない理由


高校独自の単位修得証明書だと受理してもらえないのは、きちんと単位が取れているかどうか確認ができないからです。

【単位が認められない例:1】学校独自の科目名が使われていることがある

ここでは、「世界史A」の例を見てみましょう。

「世界史A」が科目免除になるためには、科目名「世界史A」が2単位取れていることの証明が必要です。しかし、学校によっては科目名を「世界史A」ではなく「世界史A(α)」などとしていることもあります。

文部科学省では、「世界史A」と「世界史A(α)」が同じ内容かどうかが判断できないので、単位を修得したとは認めてくれません。

【単位が認められない例:2】必要な単位が取れているかどうかわからない場合がある

もう1つは、平成6年4月以降に高校に入学した人が対象となるものです。

科目免除に必要な単位数は、原則として学習指導要領で定められた標準単位数になっています。ただし、平成6年4月以降に高校へ入学した人の場合、各学校で標準単位数より少ない単位数で科目の修得を認めている場合があるのです。

例えば、「世界史B」の場合を見てみましょう。

学習指導要領で定められた「世界史B」の標準単位数は、4単位です。しかし、学校によっては世界史Bを修得するのに必要な単位数を3単位と設定している場合もあります。この場合、3単位取得していれば「世界史B」は科目免除になるはずです。

ところが、学校独自の証明書だと「世界史B」を3単位中3単位習得しているのか、4単位中3単位しか取得していないのか区別できません。結果として、免除申請が通らなくなってしまうのです。

単位修得証明書は必ず文部科学省指定の書式で!

この点、文部科学省指定の書式はよく考えられていて、標準単位数とは別に学校が設定した単位数を記入するようになっています。このように、文部科学省指定の書式であれば問題なく科目免除が申請できますので、単位修得証明書は必ず指定の書式で発行してもらうようにしましょう。

なお、単位修得証明書は入学年度や学校の種類(高等学校・高等専門学校・専修学校など)によって書式が異なるので注意してください。

単位修得証明書の書式は、文部科学省のサイトに掲載されています。

高校へ単位修得証明書の発行を依頼するときのポイント


ここからは、確実に文部科学省指定の書式で単位修得証明書を発行してもらうためのポイントを解説します。

文部科学省指定の書式があることをはっきり伝える

高校に「高認試験を受けるための単位習得証明書をください。」と伝えても、学校独自の書式で証明書が発行されてしまうおそれがあります。「文部科学省の書式にのっとった、高認試験を受けるための単位習得証明書をください」と明確に伝えましょう。

もしくは、自分で文部科学省のホームページから書式をダウンロード・プリントして、学校に持っていくのも良いかもしれません。遠方の場合や感染症が心配な場合は、郵送でもいいでしょう。

単位修得証明書は2通発行してもらう

なお、単位修得証明書は2通必要です。1通は出願用、そしてもう1通は免除科目の確認に使います。

願書と一緒に提出する単位修得証明書は、発行元(学校など)で厳封されていないと受理してもらえないので、1通だけ発行してもらってそれをコピーするのは絶対にダメです。

単位修得証明書は文部科学省指定の書式で作成してもらう!

今回は、科目免除に欠かせない単位修得証明書について解説しました。

高校に発行してもらった証明書が受理されなくて、困って相談に来る人が毎年います。証明書の発行には日数がかかることもあるので、早めに正しい書式で発行してもらうようにしましょう。

なお、学校によっては単位修得証明書に有効期限をつけている場合もあります。有効期限の有無は学校に問い合わせればわかるので、あらかじめ電話などで確認しておくほうが良いかもしれませんね。

廃校や合併で通っていた学校がなくなっている場合は、その地域を管轄している教育委員会や役所などに問い合わせてください。事務業務を引き継いでいる学校や機関が必ずあるので、あきらめないでくださいね。